クレッタルムーセン・プロダクトミーティング
Published in Friday, May 12, 2009 from Minami Senba Store
ブログをご覧に皆様、お久しぶりです。
杉本です。
これから数日に渡り、スウェーデンで行われた、
KLATTERMUSENのProduct Meetingに参加させて頂き、
社長のピーターや、スタッフから直接聞いた、ブランドのコンセプトや環境に対しての思いを、
皆さんにお伝えしていきます。


- About KLATTERMUSEN –
このKLATTERMUSEN(クレッタルムーセン)というブランド、日本では実際のところ、このブランドについて知られていることはまだまだ少ないと思う。
アウトドアのプロダクトとしては今までに使われる事のなかった素材や機能性で、日本のアウトドアファンの心を掴み、そして、革新的なデザインとファッション性の高さで、街中でも受け入れられつつある。
しかし、実際はまだまだ彼らのシェアは少なく日本でも数あるアウトドアブランドの中の一つとしてしか取り上げられていないのではないかと思う。ただ、ここから先10年でこの状況が逆転して、アウトドアブランドとしても環境を考える企業としても最先端になる可能性が充分にあると感じた。
実はこのブランド、peter askulvが創業してから25年が経つ。スウェーデンの大自然が産んだ老舗と言ってもいいくらいだ。

創業25周年を記念してつくられたビール
The main office of KLATTERMUSEN
首都ストックホルムから飛行機で約一時間半、さらに車で1時間ほど走った場所のオーレに本社がある。
オーレの町があるOSTERSUND空港に到着してまず感激したのが、空港内の荷受けの所にクレッタルムーセンのディスプレイが設置されていた事だった。
オーレの町は非常にアウトドアスポーツが活発な所で、特にその中でもウィンタースポーツが盛んで、5月の下旬でも山には雪が積もり、街中でも気温は10度から15度くらいと日本とは随分違った。

空港のクレッタルムーセンのディスプレー
到着した時間は夜の9時(日本との時差は7時間)だったのだが何故か明るい。時期的に白夜のスウェーデンは曇っていなければ夜の11時くらいでも青空という国で、それを例えるならば、昼で時間が止まっている国という感じだ。
しかし、着いてすぐは長旅と3回の飛行機の乗換えでげっそりしていたのもあり、いきなりの白夜に感動するという感じではなかった。驚いたのは次の日の朝で、着いた明るさとまったく同じだったので本当に時間が進んでいるのか疑うくらいだった。
それともう一つ驚いたのは、今回日本以外からもチェコ、韓国と数名が本社でミーティングを予定していたのだが、宿泊に用意された場所がクレッタル社員MATTIASの家族が所有する別荘で、敷地面積は野球場の2倍くらい。はなれにはサウナもあった。一人につきだいたい1部屋が割り与えられ、まずその部屋自体が大きかった。聞くと、日本ではありえない事なのだがスウェーデンでは家を2、3戸所有している事は珍しい事ではないみたいだ。とにかくスケールが大きかった。

1日目、朝から近くのハンティングエリアを散策する。残念ながら野うさぎくらいしか目にしなかったのだが、少し道をそれると鹿やムースなどに出会えるらしい。
奈良の公園の様な光景を一瞬想像したが勿論全く違う。本当の野生という感じだった。

泊めて頂いた、ゲストハウスのリビング。
そして、その日は、ゲストハウスから車で20分ほど走った場所にある、クレッタルムーセン本社にむかった。
社員みんなが暖かく出迎えてくれた。

ゲストハウスから車で20分の場所にあるクレッタルムーセン本社。

建物の1階と2階部分がクレッタルムーセン。1階がコンセプトショップ、2階がオフィスになっていた。上の画像は1階コンセプトショップの様子。
社員は総勢11人と思っていたより少ない。カテゴリーごとに仕事を分け、1人1人が受け持つという感じだった。

挨拶もそこそこにして、いきなりランチ。1階に用意されたスペースでみんなでサンドイッチやフルーツを食べる。
(奥のポロシャツを着た男性が創業者のピーター。手前の女性がピーターの奥さんエバ。)
スタッフが暖かい日本茶を用意してくれていた。器も日本の物らしかった。1時間程団らんしてから2階のミーティングルームに上がり用意されている場所に座る。自分の国の国旗がそれぞれの机に貼ってあり、そこで3日間のビジネスミーティングを過ごした。
The environment is damaged.
1日目のミーティングの始まりはピーターが自身のブランドであるクレッタルについてだった。
それは歴史から始まり、現在、未来と彼らが考えている事を教えてくれた。
自分がミーティングを通して感じた事は、彼らは製造者として、自然を愛する者としてクレッタルムーセンができることを常に考えながら、ブランドを進化させているんだという事だ。
彼の話で驚いたのは、ピーターが今でも自分でミシンを使い、縫い上げることでサンプルを作っていることだった。そして、自分でそのサンプルを何十回もテストし、確かめた上で最終のサンプルを依頼する。それから商品ができあがりエンドユーザーが商品を手にする。
タフな環境でも耐え、使う人間の事を最大限に考えると今でもそうなるのだろう。そこまでの経緯で完成したプロダクトは彼の思いやスタッフの思いが詰まっているものなんだと感動した。
あと、彼らが作り上げる製品によって環境に与えるダメージをより少ないものにする為に、新しい生地、製品の開発、環境問題を考えるという事にも力を注ぎ込んでいた。
そういった環境問題やブランドとしての取り組みを考えているのがピーターの妻であり、5人の母親であり、スタッフの一人でもあるエバだった。彼女はすごく明るく、パワフルでみんなを和ませてくれた。
彼らが取り組んでいるエコの一つとしてバッグがある。
バッグは、漁師が使う網や使用済みのカーペットからそれを加工した液体、リサイクルナイロンチップ、リサイクルナイロンの糸、といった行程で作られ、最終的にバッグに使われる生地として生まれ変わる。

元々あるものから新たに生み出され、リサイクルされた素材のみを使っているのだ。

原料となる素材は特別にエバから戴き、お店でも見ることができます。
この生地は、世界で初めてクレッタルムーセンがバックパックに使用したものだが、現在、他ブランド20数社から生地を使いたいというオファーがあると言っていた。
そこで彼らは、「環境に優しい素材は他のブランドもどんどん使うべきだ!」と自分達だけのものにせず、すべてのブランドに許可を出すつもりだという。
これを聞いて、彼らが使用している生地が近い将来、アウトドアブランドのグローバルスタンダードの一つになるのではないかと感じた。
そして、これから先も彼らが創めたプロダクトが他のブランドでもどんどん使われる事が増えていくだろうと思った。

ピーターは、「自分達を含む小さいアウトドアブランドが真剣に環境問題に取り組むことで、ビッグカンパニーにプレッシャーをより与えていければ」と言っていた。
Why do not you use the GORE-TEX
例えば、アウトドアが好きという人以外でも知っている生地の一つでゴアテックスがある。
もちろん自分が使っているウェアにも使われているものがある。
彼らはそのゴアテックスの生地を使用しない一つの理由として言っていたのが、「ゴアテックスは生産過程で大量のカーボンを発生させる、それはブランドとして求めているものではない」だ。
地球温暖化における二酸化炭素の排出を少しでも軽減することができるのであれば…と使わないのである。
ゴアテックスは素晴らしい生地であるというのはピーター自身がクライマーなので勿論知っている。そのゴアテックスの素晴らしさを認めたうえで、ピーターは実際にゴアテックスと、クレッタルムーセンのシェルでも使用している生地をテストし、調べている。その結果として判ったのが、ゴアテックスは20回洗うと本来ある撥水能力が80%まで落ち、彼らが使っているストレッチポリウレタンは20回洗って70%まで落ちるということだ。
勿論、アウトドアブランドとして厳しい環境を耐える生地を選定した上で、10%の落ちる生地をあえて選んでいるのだ。それは、10%の差であるのならばより環境に優しい素材を彼らは選ぶ、という事だった。あと、ゴアテックスに比べ、よりストレッチ性が高い点も挙げていた。動きに対しての制限もより低いのである。これは、クライマーならばとても重要視する点でもある。
彼は「物づくりをする上で時には妥協も必要なのである」と言うのだが、自分はこれからの時代を考えた彼らの生地は最先端である事に間違いはないと思った。
自分が今回ピーター達と行動を共にしてクレッタルムーセンについて知った事は沢山ありすぎて書ききれないくらいである。
日本にいる時はまだまだ新しいブランドとして表面的な知識だけだったのだが、ここまでエコに真剣に取り組み、向き合って信念を持っているブランドに出会ったことに本当に感謝している。
続く…