クレッタルムーセン・プロダクトミーティング / Part 2
Published in Saturday, May 20, 2009 from Minami Senba Store
現地の会議を通じて・・・
オーレでの3日間はある程度のタイムスケジュールを決めたうえで進んだ。
クレッタルの会議内容の殆どは来年の新作についてや、これからの取り組みについてだった。
デザイナーのHakan Nystromから商品説明を受けたのだが、自分を含む各国のゲストのみが商品の説明を受けるのでなく
社員全員も一緒だった。
中にはNEW PRODUCTを初めて見るスタッフもいて、みんなで勉強会という感じだ。
実際、細かい部分でのプロダクトを進めているのはホーカンで、ピーターと連携しながらの作業らしかった。
<新作の写真が掲載できないのはとても残念ですが、また来年、是非店頭でご覧になっていただければと思います。>
まず、1日目の午後からはバッグ、アクセサリー類の説明だった。
決められた席に座り、それぞれパソコンやノートにホーカンの説明を聞きながらメモしていくような感じだった。
ちょうど自分の席の目の前でホーカンが説明をするのだが、小学生の頃、怒られて先生の机の隣で勉強した感じを思い出した。
<こちらがホーカン>
ホーカンは、商品の1つ1つを解り易く、そして丁寧に説明をしてくれた。
ちなみに、向こうはスウェーデン語が公用語なのだが、スウェーデン人の多くが英語を話せるそうだ。
それは、テレビ番組はアメリカのものが多いらしく、殆どの番組が公用語吹き替えではなくスウェーデン語の字幕が出るというのだ。
だから、日常的に英語を聞いているし、話せるという訳だ。
そういえば、たまたまストックホルムで観た番組は、日本でも有名なアメリカテレビドラマの24、英語ではなくスウェーデン字幕だった。
ホーカンの熱い思い入れがある商品なだけにしっかり聞いていたのだが、説明がやや長くなりはじめた所で、時差ボケによる睡魔が急激に襲ってきた。
勿論、居眠りなんかもってのほか。それこそチョークが超至近距離で吹っ飛んでくるくらいの恐れがあったので何とか集中して乗り切った。おかげでクレッタルのバッグに関しての知識は世界でも指折りになったと思う。
1日目のミーティングが終わり、夕飯前にゲストハウスにてみんなで団欒。
その時に25周年ラベルのビールをいただいた。つまみは生肉を塩漬けにしたものだけだったのだが、これがまた格別にうまい。
塩漬けは寒い国だけあって、長期保存がし易く重宝するのだろう。
貯蔵庫も、食料の保存の為や、雪の重さから屋根を守る為に地面より低い位置に作られていた。
冬には雪が家の天井近くまで積もるらい。
厳しい冬を越す為の独特な知恵だった。
やはりどこの国に行っても仕事終わりのビールはうまかった。それにしてもつまみの肉は何なんだ?と思い尋ねると、「レインディアー」と一言。
あまり聞きなれないが「ディアーだから鹿ね。」とそれくらいに思っていたのだが調べると・・・トナカイだった。
トナカイの塩漬け。何故かサンタの顔が浮かんだ。
酔いを覚ます為にもマティアス邸の敷地内を散策。とにかくデカイ。
歩いていても聞こえるのは、風の音や、水の流れる音、鳥の鳴く声。
連なる山には雪が積もり、野生動物の糞や、木の皮が剥がされた古木は都会の光景からは想像できないものだった。
近くの川は、ライセンスがあれば誰でも釣りを楽しむことができ、自然のトラウトやサーモンを釣る事ができる。
日本ではなかなか見る事ができないサイズばかりだ。
スタッフのランカンのブログでも見る事ができます。
そこから夕食を摂るために車で移動すること30分、レストランのある場所に到着。
どんなところか聞いてみると、歩いて滝の側を通り、レストランまで向かうというのだ。
普通レストランがあるロケーションではないな。と思いながらしばらく細い道を進むと滝に遭遇。
これまた滝のスケールの大きさに驚いた。しかもそのレストラン、国立公園内にあるというのだ。
実は小さな滝くらいならばその辺の到る所にあるのだがこれはスケールが違いすぎた。
膨大な水量を誇り、轟音と共に落ちる水は、先ほどの静けさとはうって変わって大自然の力強さを見せつけていた。
間違っても飛び込むフリすらできない規模の大きさに一同唖然。
そこからレストランまでは5分ほどで到着した。
レストランは入り口から雰囲気があり、剥製がいたる所に展示されていた。北欧の伝統的な器であるククサもトナカイの角で装飾されているものがあり、まるで博物館の様だった。
ディナーの用意はすでに整えてあり、一つのテーブルを、同じ国の人とは別々になるようみんなで囲むように座った。
左隣はマティアス、正面はエバ、右隣にはチェコから来ているクライマーのマラが座った。
彼がまたすごいやつなんだがここで書くと長くなるのでまた今度。とにかくすごいやつでした。
ディナーのメインデッシュはここでもトナカイのステーキ。
分厚くカットされた肉にデミグラスソースに似たソースがかかっているのだが、ボリューム満点だった。
肉の味はなかなか癖のある感じで、牛肉になれた日本人には苦手な人もいるかもしれない。特に自分は関係なくモリモリ食べたが。
実はこのトナカイ、あちらでも一部の地方でしか食べることができないらしい。たしかにストックホルムでは一度も見かけなかった。
とても貴重な体験だった。
食事が終わり、夜の11時には家に帰った。次の日は朝8時半からウェアについてのミーティングだった。
2日目は朝から韓国人のLEEさんがキムチライスを作る。久々にご飯を食べた。しかも本場のキムチで作った本気のキムチライス。
朝早かったが完全に目が覚めた。
それから予定通りの時間に本社に到着。スウェーデンの朝は早いらしく、みんな8時くらいから働き始めるそうだ。
早速、ホーカンからウェアの説明が始まった。
ミーティングはみんなからも意見も出て熱いものになった。
ランチをはさみ、昼からはグループミーティングに移る。
グループミーティングは、個々の担当を受け持つスタッフとの個別のものなのでより専門的な深い話になった。
先ずは、セールスマネージャーであるマティアスとのミーティング。
彼は商品の流通を取り仕切り、日本の市場についても前向きで、日本の事をもっと知りたがっていた。
自分も、お店に立つ人間としての目線で意見させてもらった。
次は、社長のピーター、デザイナーのホーカンとのミーティング。
彼らが進めている環境に対しての企業の取り組みや、クレッタルムーセンのプロダクトを
これからもより日本で深く知ってもらう為にも自分達や日本の事をさらに知ってもらう必要がある。
それを伝えた上で、日本の文化や気候を含め、日本でのアウトドアシーンやファッションとしてのクレッタルムーセンの捉えられ方
を説明した。
海外からの目線ではアウトドアをファッションとして捉えている日本人は風変わりに見えるらしい。
自分も昔に一度考えた事あった。
オーレの町でも体験したことだが、日本と違って彼らのアウトドアは「アウトドア」という言葉ではなく、
生活の一部というよりは、生活そのものがアウトドアと密接に繋がっているということだ。
玄関を一歩出れば、そこに広がる景色は自然そのもので、仕事場から見える風景も人間が作ったものではないありのままの自然が
手に取れるくらいの距離にある。
ウェアやバッグの機能性は必要不可欠な存在にあった。
はたして日本はどうなのか?
本来の必要なものとは何なのか・・・?
その疑問をホーカンが一言で答えてくれた。
「Your life」
日本人にとってファッションを楽しむ事はアウトドアスポーツを楽しむ自分達となんら違わない。それが日本人のLIFEなんだろ?
その一言にはすごく重みがあり、たくさんの意味が含まれている感じがした。
最後はエバとのミーティング。
彼女はエコへの取り組みや、マーケティング企画担当している。
お店でディスプレイをする為のものや、これからのクレッタルムーセンの伝え方も彼女から聞くことができた。
彼女はいつか日本に行くわと言っていた。
個々での話し合いはすごく有意義なものになった。
その夜のディナーは地元の人間でもなかなか入る事ができない場所らしく、日本で言う超老舗料亭という感じで、
王様とゆかりがある家柄の人や、ある程度のステータスがある人物でないと入店できないそうだ。
一軒さんお断りみたいな感じだろうか。
そこは200年以上の歴史があり、博物館級のアンティーク家具や民族衣装がずらりと並んでいた。
料理はシンプルなものだったが、スウェーデンらしい郷土料理を堪能させてもらった。
丁度その日は、ホーカンがクレッタルでのキャリアとして2年目の日でみんなでワインを乾杯した。
イタリア人のマイケルは、空いているグラスがあればどんどんワインを注ぎにまわり、いい感じに酔わされてしまった。
帰って直ぐにサウナで汗を流し、布団へと潜り込んだ。スウェーデンに来て初めて熟睡できた夜だった。
オーレ最後の日の朝は散歩する為に6時過ぎに起床。
ゲストハウスの周りを1人で歩いて周る。朝も早かったせいか、薄く霧に包まれ幻想的な風景をしていた。
もやがかってはいるがはっきり目に飛び込んでくるものは山、川、雪、植物、土と日本でも触れることができる自然だが何かが違った。
スウェーデンでは木を伐採すれば必ず植林が義務付けられており、あちらこちらで背の低い木を目にした。
草原で見かけた木は飛び越えることができるくらいの高さで、それでも15年ほど経っているそうだ。
森には200年以上の木が覆い茂り、最終日に遭難する気はなかったので踏み入れることはなかったが、
少し入ると奥へ奥へと吸い込まれそうになる雰囲気を持っていた。
歩きながら、昨日のミーティングでホーカンに今までのデザイナーとしてのキャリアやデザインの勉強を何処で、何時したのかを聞いた時の事を思い出していた。
彼はこう言っていた。「すべては自然が教えてくれる。機能もデザインも。」
特別に学校で習うわけでもなく、自分が使い必要と感じた事を機能として用い、ウェア、バッグのカラーも自然にあるものから
インスピレーションを受けるのだ。
ゲストハウスに戻ってからは、ストックホルムへ帰る準備をし、最後のミーティングへと出発した。
ストックホルムまでのフライト時間は少しあったのでオーレの町を散策。
最後はスタッフ、生活を共にしたみんなと一人一人固い握手を交わし、オーレの町を後にした。
空港までの道で3日間の事を思い出していた。
長いようで短かった3日間は本当に内容が濃く、自分にとっても貴重な3日間だった。
